大判例

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東京地方裁判所 昭和30年(ワ)3692号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕原告は昭和三年一〇月二八日から本件土地を賃借していたが、昭和二八年一二月二五日本件土地を買い受けて所有権を取得し、昭和二九年一月二一日所有権取得登記を経た。被告芝信用金庫は原告の所有権取得前の昭和二四年五月二日から本件土地の上に本件建物を所有し、正当な権限なしに本件土地を占有していた。そこで原告は、建物収去土地明渡を求めるとともに、原告の借地権並びに土地所有権侵害を理由に、相当賃料額による損害金の支払を求めた。

判決は、賃借権は債権であるが、土地賃借権は特定の土地の使用収益がその権利を実質上価値あらしめるものであつて、事実上土地の使用収益ができない状態が作為されれば、権利は侵害されたと解するを相当とすると説明したうえで、賃借権侵害による損害額の算定につき、次のように判示している。

「さて、原告の受けた損害のうち所有権侵害によるものは、土地の賃料相当額であることは普ねく是認されるところであるが、賃借権侵害による損害額の算定には考慮を要するものがある。賃借権を侵害したものが第三者であつても、賃貸人がその侵害を排斥して賃貸物件を賃借人に使用収益させ得る状態を作為しない限り、賃借人は賃貸人に約定賃料の支払を拒み得るものとされているので、右賃料支払に関する限りにおいては賃借人に損害はないが、賃借権が経済的利益を内包する財産上の権利として観念されているのは、経験則上、賃料その他の対価(権利金等)を支払つてもなお且つ賃借物を利用することが利益をもたらすものと一般に思料されているからであり、従つて賃借権の侵害は、その権利者に賃料支払関係を除外しても損害を生じさせるものである。その損害の算定は、賃借権が賃借物を占有して、これを使用収益することをねらいとしていることからして、民法第百八十九条の法意(同法条の果実の中に法定果実を含むことは疑いがない)に鑑み、特段の事情のない限り、賃借物の賃料相当額と解するの外はない。」

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